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DL代走「SL冬の湿原号」に乗車(2/19)

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今年も道東・釧路の冬の名物列車「SL冬の湿原号」が1月28日から2月26日までの期間内に24日間全車指定席で運転されることになり、運転2日目の1月29日に乗った。

氷結した釧路湿原の絶景を車窓に眺めながら、車内に設置されたダルマストーブで釧路の地酒「福司」のワンカップを自分で熱燗にすることもでき、今シーズンもう1回乗りたくなり、2月19日の指定券を取った。

客車5両のうち、1両だけ連結される昭和27年製の旧型客車のスハシ44が充当される2号車の指定席を確保。

その後、2月9日の運転後の点検で、せん引するC11型蒸気機関車171号機の車輪に規程を超える傷が見つかり、北海道では修繕できず本州のメーカーに送って修理することになり、SLでの運転ができなくなってしまった。

翌10日だけは運休したが、2月11日以降の運転日は、列車名は「SL冬の湿原号」のまま機関車をディーゼル機関車による代走で運転することになった。

SL列車を楽しみにしていた人には気の毒だが、自分は今シーズンすでに1度SLけん引で乗っているし、去年3月のダイヤ改正で廃止された札幌・青森間の夜行急行「はまなす」を最後にディーゼル機関車けん引の定期列車は全廃された今、予定外のディーゼル機関車けん引の方がかえって珍しいこともあり、予定通り乗りに行くことにした。

前日中に釧路まで来て泊まっていた2月19日日曜日、「SL冬の湿原号」の入線に間に合うように10時半には釧路駅に出向くと、機関車はSLではなくディーゼル機関車に変更されたことが案内されており、SLじゃないなら乗るのを辞める場合は手数料なしで払い戻しに応じることや、乗車後に指定券を提示すれば、SL指定席料金820円と一般の料金との差額は返還すると繰り返し案内していた。

「SL冬の湿原号」は3番線からの発車だが、隣の4番線から入線してくるところを見物すると、けん引機は釧路に2両在籍しているDE10型ディーゼル機関車のうちの、去年函館から釧路に転属してきた国鉄時代の塗装のままの1690号機だった。

かつて、C11が2両あってシーズン中毎日運転していた2013年は、検査の都合でSLが使えない日は計画的に「DL冬の湿原号」として運転し、ディーゼル機関車に専用のヘッドマークを掲げて運転したが、SL故障で急きょ代走となった今年はヘッドマークなしでの運転で、まるで国鉄時代のローカル線の普通列車のようにも見える素晴らしい編成である。

しかも、乗るのは指定券を取った旧型客車の2号車で、赤帯さえなければ雰囲気満点である。

短い編成の列車しか発着しない4番線は、最後尾が見えるところは除雪もしておらず立入禁止なので、「SL冬の湿原号」の発車ホームの3番線へ。

最後尾のテールサインは、今年はもうSLがけん引することはないが、「SL冬の湿原号」のままになっている。

先頭の機関車のところへ回ると、SLで運転していたときほど記念写真を撮る客は多くなく、あまり待たずに写真が撮れたが、まるっきり国鉄時代の列車のようである。

指定券を取った2号車は、旧型客車で自動ドアではないので、ドアは締め切り扱いになっており、隣の車両から乗り降りすることになっており、1号車から乗り込む。

SLで運転していた日のように車内は満席ではなく、2号車の一角にある販売カウンターも数分並べば順番が回ってくるくらいの落ち着いた雰囲気で、早速釧路の地酒「福司」のワンカップとつまみの干し氷下魚(コマイ)を買い求め、車内に設置されているダルマストーブでワンカップを自分で熱燗にしながらコマイを炙る。

釧路発車前から飲み始めてしまったが、定刻通り11:06に発車し、車窓には氷結した釧路湿原の絶景を横目に、時折現れる特別天然記念物のタンチョウ(鶴)に一喜一憂しながらちびちび、これが「SL冬の湿原号」の醍醐味で、もはや機関車がSLじゃなくても最高である。

終着の標茶までの約1時間半でワンカップ1ボートで足りるはずもなく、2本目を買ってきて今度はみりん干しタラをつまみにしながら引き続き楽しむ。

途中で車掌が回ってきて乗車証明書を配って歩いていたが、SL故障で急きょディーゼル機関車による代走となったため、証明書はSLの写真の「SL冬の湿原号」のままのものが配られた。

ただ、JRもSLを楽しみにしていた客に申し訳ないと感じたのか、オリジナルのクリアファイルも配布された。

そして、ワンカップ2本飲んでほろ酔いで定刻通り12:35に終着の標茶駅の1番線に到着。

折り返し釧路行きとして発車するまで1時間24分あるが、朝飯に釧路ラーメンを食べた上に車内でコマイとみりん干しタラをつまみに食べ、全然腹は減っていないので標茶では昼飯を食べには出ず、まずは入れ換え作業を跨線橋から見物する。

1番線からバックでいったん釧路方に引き上げる。

踏切の先までバックすると、車掌がポイントを操作。

そして、標茶駅の2番線に進入。

自分も2番線に回る。

すると、機関車はすぐに客車から切り放される。

ポイント操作の準備が整うと、機関車だけ網走方に引き上げる。

車掌がポイントを切り替えると、機関車が3番線ホームの少し先までやってきて、ここでしばらく停車。

SLで運転していた日は、このもう少し先に機関車を停め、待機している作業員による給水作業とスス落とし作業が行われていたが、ディーゼル機関車の場合は何も作業はなく、機関士は鍵を掛けて降りてきて、13:30過ぎ頃から機回し作業を始めるまで小休止し、駅舎で昼食を摂るとのことで、自分もいったん改札を出て休む。

13時半を過ぎ、改札はまだ始まらないが、断って先に入場させてもらい、再び跨線橋で待機。

しばらくすると、機関士が乗り込み、ヘッドランプを点灯して機回し作業が始まり、3番線を使って機関車を釧路方に移動。

ポイントのところで待機していた車掌がポイントを切り替えると、今度はこちら側のヘッドランプが点灯される。

客車のところにも1人車掌がおり、連結器などを確認して、無線で合図を送ると機関車が発進し、客車の数メートル手前でいったん停止し、機関車側の連結器を操作。

そして、ゆっくりゆっくり前進して客車に連結される一部始終を見物。

その後1番線に回って編成の写真を1枚撮ってから、折り返し釧路行きの「SL冬の湿原号」に乗り込む。

復路では、飲むのは14:35着の塘路までと決めているからあまりのんびり飲んでいる時間がなく、13:59の発車を待たずにすぐに販売カウンターでワンカップを買い、標茶で買っておいた鮭トバを炙りながらつまみにセルフ熱燗にしながら飲む。

復路で配られた乗車証明書も、写真はSLのままだったが、往路でもらったものとは異なる写真である。

塘路が近づいてきたところでワンカップ1本も飲み終え、塘路ではホームが短いため4号車と5号車のドアしか開かないから先頭の客車、5号車へ移動すると貫通扉の向こうにSLではなくDE10の鼻面が揺れているのが見える。

塘路では上り摩周行き普通列車と行き違いのため9分停車するので、塘路に着いたらいったん下車してまずは構内踏切を渡って上りホームから編成の写真を撮ってから、喫煙所で一服するとちょうど発車時刻になり、再び乗り込む。

あとは終着の釧路までの49分間、車窓に広がる釧路湿原を眺めながら定刻通り15:35釧路駅の3番線に到着。

釧路駅では、10分もしないうちに車庫に回送されてしまうので、4番線には回らず降りたホームの3番線でとどめの1枚写真を撮り、車両基地に引き上げていくのを見送る。

SL故障で急きょディーゼル機関車による代走になった「SL冬の湿原号」だが、SLじゃなくても十分楽しめる素晴らしい列車だった。

釧路所属のDE10のうち、1両だけ配置されている国鉄時代の塗装の1690号機を充当してくれたJR北海道の粋な計らいに感謝するところである。