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芝 ) 劇団SHOW DOWN

3月26日観劇◇大阪市立芸術創造館

劇団SHOW DOWNの「ドラゴンカルト」を観た。東京と大阪の二都市公演だった。東京では大好評を得、大阪では連日満員の大盛況だった。私の訪れた回でも、受付開始時には二十人以上の客が列を作っていた。開場時間には三十人以上はいたろうか。旗揚げから十七年目のこの劇団をずっとみているが、これほどまでの列を為したのは、京都を公演の拠点としていた2005年か2004年まで遡らねばならないのではないだろうか。その当時は受付開始時間には 常時、数十人が並んでいた。また開場時間には五十人程度の列は当たり前だった。キャパが百人台の劇場でのことだから、その人気ぶりが伺えるというものである。

「黒船」以降の作品は、一人芝居公演からそれまでと明らかに異なっていることがある。それは看板役者である林遊眠を主役に用いてこなかったことにある。「パイドパイパー」では位置的には主役ではあるが、完全形では無い。まだ遊眠さんより先輩団員が居た頃、彼女はヒロイン的な配役はあったかも知れないが主役を張ったことは無かった。看板役者はいたし、上位の配役は先輩団員や客演に当てられていたからだ。現在事実上引退している劇団代表のナツメ氏の奥さんも客演の数は多かったのだが、遊眠さんは役的にその方より上位の配役だったことはまず無かった。

遊眠さんは一人芝居(私は一人芝居として分類するには、純粋な一人芝居とは言えないと思っているが)で高く評価されている方が多い。それを機にショウダウンの芝居を観初めた方も同じく多い。彼女は努力と根性の人で、それは私も感じているし評価もしている。だが、本来のショウダウンらしい芝居からすれば、彼女を主役にした脚本は違うなという思いがある。

現在のショウダウン芝居をファンタジー作品を得意みたいな雰囲気があるが、本来は男同士の男臭い作品が圧倒的だった。また撃鉄の子守唄以前でファンタジー作品は、純粋にはドキドキメモリアルだけであった。ミステリー系やサスペンス系或いは対戦系が殆どだった。遊眠さんが主役の芝居にしても、純粋な女性役はまず無く、大抵は男を意識した女性の話である。ナツメ作品の九割以上を観てきたが、女性女性した脚本は一本も無かった筈である。全て男優に置き換えても成り立つ作品ばかりだった。

撃鉄の子守唄以降に観初めた方には分かりにくいだろうが、それ以前の大半の作品は今回のドラゴンカルトみたいな傾向の作品ばかりだったのである。私はこの作品を観て懐かしさで一杯だった。黒船やパイドパイパーも私が思うショウダウンらしい作品と言えよう。遊眠さんの演じた一人芝居もどきも、大人数で演じれば本来のショウダウンらしい作品となったに違いない。遊眠さんの一人芝居はショウダウン本公演から切り離してSHOW UPとして演るか、林遊眠という分野を立ち上げてそちらで別動隊として公演する方がスッキリする。

あとこの劇団で評価していることがある。それは同じような役者を起用し続けないことだ。中路さんや中鶴間さん、中川さんや飯嶋さんみたいに連続して起用する例はあるのだが、一時期だけであり、それがずっとということはない。過去にも土性さんや永井さんも暫く続けて起用したが、結局一時期だけだった。例に挙げて失礼だが片岡百萬両氏や伊藤えん魔氏みたいに、どの作品にも同じような顔ぶれがある程度いるみたいなことがない。気心が知れた仲間を起用することは演劇的に悪い訳では当然無いのだが、観に行く立場からすれば新鮮さに欠ける。脚本を書く人の作品の傾向は何作品か観れば把握出来る。それなのに同じような顔ぶれが上演しても、上澄みは違えど底の水は一緒なので変わり映えしないのである。役者がガラッと変われば、水自体が入れ替わるというものだ。毎回ベテランから若手(学生も含む)まで起用しているが、それぞれのキャラがキチンと立っていてワイワイ組がいないのが素晴らしいと思う。この傾向は旗揚げ以来変わらない。ただ劇団員が十名近くいた時代もあり、その時は団員が出るから同じ顔ぶれになるのは仕方がない。ナツメ作品にはエ\xA5

鵐織畄呂蚤燭ぅ瀬鵐垢箸ǂ呂泙困覆ぁ⦿拮瑤泙嚢瓦辰萄遒蠑紊欧深乃錣任い弔眈”蕕靴討い襦↗轡腑Ε瀬Ε鵑琉嫐D未蝓〵嗚\xDCor演出VS役者・作品VS観客等、常に対決を意識してより高みを目指しているのである。

今回の公演は、間に地球戦士ゼロスがあった関係上、東京公演と大阪公演の上演期間が凄く開いてしまった。しかし出演者がかなり違うこともあるが、東京公演を終えてだいぶんブラッシュアップもされたようで、その辺りも抜かりがない。三時間作品だろうが二時間作品だろうが、全員での実質稽古が一ヶ月程度で、ここまでの質に持って来れるとは、役者やスタッフもそうだが、この劇団の底力を感じずにはいられない。

「ドラゴンカルト」・・京都時代からのファンにとっては馴染みの太秦署の登場は懐かしく嬉しい。作風もB級映画や洋ドラやオカルトに造詣が深いナツメさんらしい。ナツメさんはガンアクションが好きみたいなので、そちらを得意とするバンタムクラスステージとの合同作品もきっといいだろうなと思ったりもする。

今回の私的な意見での功労者は伊藤さんだ。機動隊での役なのだが、役作りが半端なく、一番迫力があり舞台向けの演技としては満点だ。初見だが、良い人材をより良い配役で起用したなと感心した。起用で言うならば和田さんも良かった。水晶玉のパフォーマンスは見事だった。それを把握していての配役なのか、たまたま彼が得意だったのかは知る由もない。だが眉唾な占い師役だが、彼の占いが結果的に正しかったというシーンに繋げている脚本も良くできている。デカ長の遺体の前で証拠品を踏みつける遊眠さんの演技は、彼女らしいもので、今回の作品全体の遊眠さんの演技の中で一番好きなシーンだった。大阪本格的進出以降の本公演では余り見受ける機会が仏無いが、番外公演や京都時代ではらしい演技だった。

ショウダウン芝居で特に大人数の場合は、誰か一人をナビゲーター的役割を担わすスタイルが特徴である。今回は仁科役の久保さんだった。この役回りは台詞が特に多い。初見の役者さんで彼の技量は知る由もないが、大変だろうなと思い観ていた。金本さんも同じく初見だが、貫禄な演技をされていた。スマートな演技だったが、それが更にいかがわしさが増してリアリティーに繋がっていたと思う。ショウダウンでは久々の浦田さんも地方の刑事役だったが、存在感は私的には大きかった。彼は商業演劇や殺陣芝居で活躍されているが、ガンアクションに関しても造詣が深いみたいなので、またガンを使う芝居で起用して貰いたいものだ。

余談だが中原さんは、壱劇屋の柏木さんに良く似ていた。登場される度に着目している自分がいた。

最後に全員が仮面を装着して舞台に並び、仮面を取りながら礼をするという演出は、小劇場の舞台と言うよりはショーみたいで感心した。これもナツメさんのこだわりなのかとも思った。

今回はいつものナツメさんだけでなく、黒船に出演されていたし劇団Mayの代表でもある金さんが助演出を担当されていた。思うに夏目さんが東京と大阪公演の間にあったゼロスの為に抜けなければならない事情もあったのだろう。

直前でキャストの一人が降板したり、団員の宮島さんの最終公演だったりとした公演だったが、近年にはない大盛況で終えたことは長年のファンとしては、大変嬉しいことだった。京都時代にはこれに映像が加わったので更に良かったのだが、希望としてはそれに還って欲しいという思いがある。暫くは大人数芝居は無いそうだ。この劇団には長い間プロデューサーが居ない。もしいればもっと集客力が増すのだが仕方がない。私としては久しくやっていない「SHOW UP」をまたやって欲しいなと思っている。ショウダウンのというより、ナツメさんの振れ幅の広さを実感出来る筈だし、更にファンを増やすことにも繋がる。団員が増えないことと集客力に欠けていることが今の劇団に足りない部分である。

次回公演の予定は無いが、今回の観客のショウダウン熱が冷めやらぬまでにまた、公演を是非して貰いたいものだ。